物流倉庫換気解析事例
■解析概要
物流倉庫の1フロアを対象とする。
物流倉庫内においては、常温保管が可能な物品を取扱う場合に空調はしないまでも一定量の換気は必要とされるが、
庫内には物品が搬入されるスペースを確保する必要があるため、換気設備の配置に制約があるなかでも効率的な換気が要求される。
本解析では、換気計画の妥当性を気流解析に加えて、給気有圧扇・排気有圧扇を対象とした換気効率指標を用いて検証する。
解析モデルおよび解析条件の詳細は以下に記載する。
■解析モデル
図1 解析モデルパース図
■解析条件
温度条件 | 外気温度 | - ℃ | ※等温設定 |
---|---|---|---|
設計温度 | - ℃ | ※等温設定 | |
換気条件 | 名称 | 風量 | 吹出角度 |
給気有圧扇 | 5,100m3/h*6台 | 吹出角度:水平 | |
排気有圧扇 | 5,100m3/h*6台 | - | |
エア搬送ファン | 2,000m3/h*20台 | 吹出角度:下向き22.5° | |
熱貫流負荷 | ナシ | ||
発熱負荷 | ナシ |
■解析結果
図2 速度分布+ベクトル平面図(FL+1.5m)
給気有圧扇とエア搬送ファンの気流である0.5m/s以上の分布と、0.1~0.3m/sの分布が多くみられるが、 0.0~0.1m/sの分布もかなりの範囲にみられるため、速度分布としては滞留域があるとみることができる。
図3 空気齢(SVE3)分布平面図(FL+1.5m)
破線の区画では、空気齢の値が高く、新鮮空気が到達しにくい状況であることが分かる。
■空気齢(hr)・SVE3:対象空間内に入ってきた空気が、対象空間内のある場所に到達するまでにかかる時間を示し、 空気齢の値が小さいほど、新鮮空気が到達しやすく換気の効率が良いことを示す。
実際の計算としては、対象空間内に拡散物質の常時一様発生を仮定した定常計算を行い、 拡散物質の濃度が低い場所ほど、流入した空気が短い時間で到達する場所と判断する。 空気余命(hr)・SVE6 と対になる解析。
図4 空気余命(SVE6)分布平面図(FL+1.5m)
破線の区画では、空気余命の値が高く、空気が排気されにくい状況であることが分かる。
■空気余命(hr)・SVE6:対象空間内のある地点から、排気口まで空気が到達するまでの時間を示し、 空気余命の値が小さいほど、その地点の空気が排出されるのが早く、換気の効率が良いことを示す。 実際の計算としては、流れの方向を反転させた仮想的な流れ場を計算し、この流れ場の下で空気齢を算出することで得られる。 空気齢(hr)・SVE3 と対になる解析。
図5 空気寿命分布平面図(FL+1.5m)
破線の区画では、空気寿命の値が高く、空気が滞留しやすい状況であることが分かる。
■空気寿命:空気齢(hr)と空気余命(hr)を加算した値で、対象空間内における任意の地点を通過する空気の滞在時間を表し、 流入空気の到達効率と排出効率を総合的に評価することが可能である。 空気寿命の値が小さいほど、対象空間内全体の換気効率が良いことを示す。