2次元急拡大管路流れ解析事例
■解析概要
ガスバーナーの燃焼を安定化させるための保炎や工場内におけるスポット空調等、工業設備や機械等において急拡大部を持つ管路流れは数多く存在する。
このような急拡大管路流れは、単純な形状でありながら、はく離・再付着が発生し、それに伴ってはく離渦が発生する現象として広く知られている。
ここでは、2次元モデルを用いて解析を実施し、管路幅とステップ高さの比率(管路拡大比)の変化が流れに与える影響を調べる。
モデル及び解析の詳細は以下に記載する。
■解析モデル
図1 解析モデル図
■解析条件
管路拡大比1) | 2.0000 | 3.0000 | 3.5000 | 4.0000 | |
---|---|---|---|---|---|
サイズ | 管路幅(H) | 1.0000m | 1.0000m | 1.0000m | 1.0000m |
ステップ高さ(h) | 0.5000m | 1.0000m | 1.2500m | 1.5000m | |
境界条件 | 流入 | 1.0000m/sec | |||
流出 | 0.5000m/sec | 0.3333m/sec | 0.2857m/sec | 0.2500m/sec | |
壁面 | non-slip壁 |
1) 管路拡大比:{(H+2h)/H}
■解析結果
図2より、管路拡大比2.0000の場合、ステップ下流に上下対称なはく離渦がみられ、主流方向に関して対称流れになることがわかる。
管路拡大比3.0000以上になると、下方壁面側のはく離渦よりも上方壁面側のはく離渦の方が大きく成長し、主流方向に関して非対称流れになることがわかる。
管路拡大比が大きくなるに従って、上方壁面側のはく離渦は下向きに膨らんだ形になり、渦の中心位置が下流方向に移動している様子が確認できる。
また、管路拡大比3.5000並びに4.0000では、再付着によってさらに下流方向に3つ目のはく離渦が発生している。
このような解析結果の傾向は、図3より既往の解析結果2)とも良好に一致していることがわかる。
図2 速度分布+ベクトル図(上から順に管路拡大比 2.0000,3.0000,3.5000,4.0000)
図3 既往の解析結果2)[流線図](上から順に管路拡大比 2.0000,3.0000,3.5000,4.0000)
2) 中西・桜井・大坂, 二次元対称急拡大流路内流れの数値的研究, 機論, 61-589, B(1995), 3182-3189