2次元正方キャビティ流れ問題ベンチマークテスト

■解析概要

 “キャビティ(Cavity)”とは、「空洞・くぼみ・凹み」といったような意味である。 従って、一般的に“キャビティ流れ”とは、空洞やくぼみ等内部の流れのことであり、 例えば川底に存在するくぼみの内部、工学的には矩形管内流れの曲がり角や物体表面の引っかき溝の内部等、 非常に身近で重要な流れ現象である。 ここでは、長年にわたり数多くの研究成果が報告されており、 数値解析におけるベンチマークテストとして広く知られている2次元正方キャビティ流れ問題について解析を実施し、 解の信頼性が高いGhiaらの解析結果と比較検討する。 モデルおよび条件の詳細は以下に記載する。

※U. Ghia et al.:High-Re solutions for incompressible flow using the Navier-Stokes
equations and a multigrid method,J. Comp. Phys. , 48, pp.387-411(1982)

■解析モデル・解析条件

図1 概念図

レイノルズ数 100, 400, 1000, 5000, 10000
格子分割数X方向232
Y方向232
壁面境界条件上方u=1.0,v=0.0(移動壁)
その他u=0.0,v=0.0(静止壁)
 1)uはX方向流速値、vはY方向流速値を表す。
 2)座標値、流速値は共に無次元量。
図2 解析モデル図(左)および解析条件(右)

■解析結果

 流速ベクトル図より、上方壁面に課された境界条件によって渦(1次渦)が発生しており、 レイノルズ数が高くなる(粘性の効果が小さくなる)に従って大きく成長し、発生位置がキャビティ中心に近付くことがわかる。 レイノルズ数が1000以上になると、この1次渦に誘起される形でキャビティ右下および左下付近に2次渦が発生している。 さらに高レイノルズ数の領域では、キャビティ左上付近にも2次渦が発生し、 キャビティ右下および左下付近には2次渦に誘起される形で3次渦の発生まで確認できる。 また、中心線上流速分布より、いずれのレイノルズ数においてもGhiaらの解析結果と良好に一致する結果が得られており、 使用している自社開発ソフトウェア(TFEsolver)の解析精度が高いことを示している。

※U. Ghia et al.:High-Re solutions for incompressible flow using the Navier-Stokes
equations and a multigrid method,J. Comp. Phys. , 48, pp.387-411(1982)

図3 流速ベクトル図(左)および中心線上流速分布(右)[レイノルズ数:100]

図4 流速ベクトル図(左)および中心線上流速分布(右)[レイノルズ数:400]

図5 流速ベクトル図(左)および中心線上流速分布(右)[レイノルズ数:1000]

図6 流速ベクトル図(左)および中心線上流速分布(右)[レイノルズ数:5000]

図7 流速ベクトル図(左)および中心線上流速分布(右)[レイノルズ数:10000]


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