日本建築学会ベンチマーク風環境解析事例(ランク評価)

■解析概要

 2階建ての低層住宅が密集している市街地を対象とする。 ここでは、高さ60mの計画建物Aと高さ18mの計画建物B・Cが建設されたと仮定して、これらの計画建物が周辺の風環境に与える影響について、建設前・後で村上方式による風環境ランク評価を行う。 モデルおよび条件の詳細は以下に記載する。

■解析モデル

図1 解析モデルパース図(解析領域全体表示)

図2 解析モデルパース図(モデル化領域拡大表示)

■解析条件

表1 解析条件表
風向条件 16風向
風配は図3参照。
流入・流出境界条件 基準高さ15.90m
基準風速4.63m/sec
べき乗値0.25(1/4乗則分布)
風速分布は図4参照。
側面・上空境界条件 slip壁
地盤面・建物表面境界条件 non-slip壁
※『市街地風環境予測のための流体数値解析ガイドブック』(日本建築学会)の値を用いた。

図3 風配 図4 風速分布

■風環境ランク評価

 評価点は計画地を中心に80点とし、評価高さは地表面+1.5m(Z=1.5m)とした。

 建設前においては、評価点8・17・18でランク4と評価され、 評価点2・7・14でランク3と評価され、それ以外の評価点ではランク2と評価された。

 建設後においては、評価点3~8・14~18・24~28・30・37でランク4と評価され、 評価点56でランク3と評価され、それ以外の評価点ではランク2と評価された。

 建設前においてランク3~4と評価された点では、 周辺建物①による逆流および吹き降ろしが影響しているものと考えられる。

 建設後においてランク4と評価された点では、計画建物Aによる逆流および吹き降ろしが影響しているものと考えられる。 また、ランク3と評価された点では、計画建物Bによる逆流および吹き降ろしが影響しているものと考えられる。

 以下、表1に建設前・後の風環境ランク評価比較を、図5に建設前・後の評価点別風環境ランク評価を示す。 また、図6に出現頻度上位4風向(NNE・NE・WSW・W)の地表面+1.5mにおける風速分布並びにベクトルを平面図で示す。

表2 風環境ランク評価比較(建設前・後)
評価点番号ランク評価点番号ランク
建設前建設後建設前建設後
1224122
2324222
3244322
4244422
5244522
6244622
7344722
8444822
9224922
10225022
11225122
12225222
13225322
14345422
15245522
16245623
17445722
18445822
19225922
20226022
21226122
22226222
23226322
24246422
25246522
26246622
27246722
28246822
29226922
30247022
31227122
32227222
33227322
34227422
35227522
36227622
37227722
38227822
39247922
40228022


図5 評価点別風環境ランク評価(建設前・後)

図6 風速分布+ベクトル平面図(Z平面,地表面+1.5m表示)


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